栄える街には必ず影あり。西東京の歓楽街に君臨する洗練された1杯の醤油

この記事は4分で読めます。
栄える街には必ず影あり。西東京の歓楽街に君臨する洗練された1杯の醤油

栄える街には必ず影あり。西東京の歓楽街に君臨する洗練された1杯の醤油

今回訪れたのは立川駅の北側。

20年前の立川と現在の立川は、まるで別の都市だ。モノレールが開通したばかりの頃は、まだまだ駅前にこれほどまで大きな建物もなく、せいぜいウリといえば伊勢丹があることくらいだった。それが今や、巨大な駅ビルに巨大なショッピングセンター。駅前には店が立ち並び、まるで西東京の覇者のような顔をしている。

しかし、道を1本裏に入れば、昔ながらの飲食店に風俗店、迷路のように住宅街に食い込む商店街が今でも残る。こういうところを見ると、やっぱりまだまだ一地方都市を抜け出せていないのだな、と感じてしまう。

今回訪れたのは立川駅の北側。立川市の行政機関はこちら側に多く集まる。さらに、伊勢丹や高島屋、立派なホテル群、少し歩けば昭和記念公園にも繋がるハイソなエリアである。

栄える街には必ず影あり。西東京の歓楽街に君臨する洗練された1杯の醤油

駅前はとても栄えている。

「曙町」という一大風俗街を抱えている

しかし、このエリアは「曙町」という一大風俗街を抱えていることも見逃せない。人の集まるところに影ができるのは当然のこと。表が栄えれば栄えるほど、裏の影も濃くなっていくものなのだ。

このエリアは「曙町」という一大風俗街を抱えていることも見逃せない。

「曙町」の一大風俗街。

表通りを離れて入り込んだ飲食街の、個人店の多さが居心地良い。個性のないチェーンの居酒屋よりも、こういう店のほうが足を運んだ甲斐がある。中を覗くとどの店も決して繁盛しているとは言えない。しかし、地元の人々に愛され、地元の人々に合わせて続いてきたことがわかる。都心から電車でたった30分。それだけで田舎の香りを感じることができるのも、東京の魅力なのかもしれない。

足の向くまま、気の向くままにウロウロと歩いた先。古びたホテルの中に見つけたラーメン店。今日はここで〆るとしよう。

■本日の〆麺

『楽観』は、もともとは都心に店を構えていた。数年前に立川に本店を移してからは、ずっとここで営業を続けている。立川は知る人ぞ知るラーメン激戦区。二郎系の名店から九州系、北海道ラーメンなど、全国各地の麺が集まる。駅前にはラーメンスクエアなるものも存在する。その中でこの「楽観」は、洒落た淡麗系を武器に圧倒的な高評価を得ている。

メインのメニューは3種類。醤油ベースの「琥珀」、塩ベースの「パール」、最近登場した味噌ベースの「鼈甲」。どれも魚介の風味を豊かに感じられるスープが魅力だ。今回は「特製 琥珀」をオーダー。テーブル席で食券を渡し、着丼を待つ。

店内は老若男女を問わずさまざまな客で賑わっている。ホテルの奥まったところにある目立たない立地だが、これだけの客が集まるのはその実力ゆえか。

届いた丼からまずは、スープをいただく。澄み切った琥珀色のそれは、実に爽やか。角の取れた醤油の甘みが、出汁にうまく溶け込んでいる。さらに、たっぷり張られた鶏油の甘みもプラスされて、非常にまろやかだ。麺は細めのストレート。ツルツルした口当たりとコシのある歯触りが小気味いい。小麦の甘みと香りがふんわりと漂う。

歯応えのある厚めのチャーシューは3枚。スルリと食べられてしまうあっさりラーメンゆえに、このボリュームがうれしい。そして、存在感を放つ玉ねぎ。醤油に玉ねぎというと八王子系ラーメンを思い浮かべるが、それよりはもう少しシャキシャキと辛味を残した玉ねぎを使用している。このアクセントのおかげで、七味を使う必要はない。

いつ食べてもうまい。少々値段は張るが、わざわざ足を運ぶ価値のある店。久しぶりの1杯を最後の1滴まで飲み干し、店を後にした。

本日の〆麺

本日の〆麺

ごちそうさまでした。

【DATA】

特製 琥珀
1,000円
https://tabelog.com/tokyo/A1329/A132901/13143405/

  • 日間
  • 週間
  • 月間