【〆麺】懐かしの街・飯田橋で昔なじみと飲んだあとは、あっさりとした塩ラーメンで。

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【〆麺】懐かしの街・飯田橋で昔なじみと飲んだあとは、あっさりとした塩ラーメンで。顔なじみの編集者と軽く打ち合わせを兼ねて飲みに出ることになった。場所は、飯田橋。神保町に近いこともあり、古くから印刷所や編集プロダクション、出版社が多く集まるエリアだ。私も以前、勤めていたことがある。

少し早く着いたので、久しぶりにぶらぶらするとしよう。

飯田橋まずは西口を出る。以前は駅ビルの隣に改札口があったのだが、今は移動し、線路脇の坂道の途中にある。ちょうど会社を辞める頃、飯田橋にも再開発の波が来ていた。どれだけ様変わりしたのだろうか……。興味本位で降りてみたが、駅前のサクラテラス以降、特に新しい建物が建つわけでもなく。店の並びに少し変化があったくらいで、よく見知った町並みであった。

昨今は東京大神宮が縁結びのパワースポットになってしまったからか、平日から若い女性の集団が多い。以前はもう少し静かで、地元の人か近隣のサラリーマンが憩う場だったのだが……。しかし、神様というのは信仰を集めてこそ、である。寂しいけれども、喜ばしいことでもあるのだ。

このあたりは靖国神社や東京大神宮への参道が近いこともあり、ちょっとした路地にも多くの飲食店が立ち並び、どこを曲がっても面白い。ところどころに残る江戸の面影が、また、いい。

大神宮の脇の石段を下ると、昔ながらの大工の家があり、そこの軒先にいつも犬がいた。柔らかな色の柴犬で、とても大人しい子だった。久しぶりに顔を見てやろう、と思ったのだが、姿を見ることができず、残念。

早稲田通り方面に降りていくと、東口側となる。行き交う人々の大半が、会社務めのサラリーマン。東京の風景だ。カレー、ラーメン、そば、定食……タバコの吸える喫茶店が多いのも、そのせいだろう。世の流れは禁煙一辺倒だが、駅前には喫煙室が用意されていて、雨天を気にせず一服できるのがありがたい。

飯田橋

2本目のタバコに火をつけようとした頃、待ち合わせの相手から連絡が入った。どうやらすでに店にいるらしい。呼び出された店は、なんてことはない普通の居酒屋。盛り上がる話があれば、つまみも酒も安くていいのだ。こういう店が当たり前にあるのも、サラリーマンの街ならでは。すぐ隣の神楽坂ほど気取らず、新橋ほど人も多くない。このくらいの規模感が居心地良い。

ひとしきり飲み、仕事について語り、次の案件の詳細も詰めたところで、明日があるから、と彼は帰っていった。週の真ん中なのだから、当たり前。我々のように、時間だけは自由な商売とは違うのだ。しかし、久しぶりのホームグラウンド。せっかくだからこれで帰ってしまうのはもったいない。
そうだ。あの店で〆よう。

 

本日の〆麺

駅横にポツンと出現する、ほんの数軒だけの飲み屋街。その中にある『高はし』は界隈では有名な店。いつ訪れても、近隣のサラリーマンたちが列を成している。

この店はワンタン麺が有名だが、今日の気分はシンプルに中華そば。ワンタンだけ別皿で注文した。

中華そば 高はし 塩そば

【ラーメンDATA】
中華そば 高はし
[食べログ]
営業時間

[月~金]11:30~14:00/17:00~21:00
[土]11:30~18:00
※(売り切れ次第終了)

塩そば
750円

 

目の前で調理されるラーメンを見ながら、とても懐かしく、うれしい気持ちになった。久しぶりの来訪でも変わらない。透き通ったスープに大釜で豪快に茹で上げた細めの麺、たっぷりの小ねぎが鮮やかだ。

チャーシューの味付けは控えめで、スープにしばらく沈めておくと出汁が染み込んで美味しい。あっさりとしているのに、身体の芯まで染み込むような滋味溢れる味わい。少し塩気は強いが、いくらでも飲める。何よりここのスープは、やけどしそうなほどの熱々で提供される。油膜が厚めに張られているため、なかなか冷めない。食べれば食べるほど、腹の底にずっしりと溜まり、熱が湧き上がってくる。

カウンターのみの小さな店内では、誰もが「ふうふう」と暑そうに麺をすすっていた。寡黙な大将にならうように、無言で麺と向き合う時間。かなりボリューミーなのに、あっという間にスープまで完飲。

ごちそうさまでした。

飯田橋エリアのガールズバーはこちら

 

ライターT氏
フリーライター歴12年。酒と煙草とハードボイルドをこよなく愛する40代。基本的に頼まれた仕事は断らないスタンスで、フットワークの軽さを武器に、グルメからギャンブル、芸能関係までジャンルレスで活躍している。取材先で食べるご当地グルメと酒、〆のラーメンが何よりも楽しみ。最近、少しだけ血糖値が気になり始めた。憧れの人は「孤独のグルメ」の井之頭五郎。

 

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