お酒好きな方の中には、「もしかして自分はアルコール依存症なのではないか…」と心配している方もいるのではないでしょうか。「アルコール依存症」は病気であり、単なる「酒好き」とは異なります。
そこで今回は、「酒好き」と「アルコール依存症」との境界線について、また、アルコールに依存しないための対策をまとめてご紹介します。
アルコール依存症とは?
アルコール依存症とは、その名の通り、身体的にも精神的にもアルコールに依存してしまう病気です。厚生労働省の調査によると、アルコール依存症に苦しむ人は全国に4万人以上いるとされています。
アルコール依存症になると、アルコールなしでは生きていけなくなります。飲酒が習慣化し、飲酒量もだんだん増えていき、お酒を飲まないと風邪のような症状(微熱や悪寒など)に苦しめられるようになります。この段階で病院を受診すれば適切な治療を受けることができるのですが、「風邪だろう」と気にも留めない方が多いのです。
さらに症状が深刻になると、お酒を飲みたいために会社を休んでしまうなど、生活にも支障が出てきます。また、お酒が抜けるとイライラして暴力的になるためで、家族との関係が悪化してしまう場合もあります。
さらに症状が進んでいくと、幻覚が見えるようになり社会生活が困難になるだけでなく、アルコール性肝炎を引き起こして、最悪の場合は死に至ります。
「酒好き」と「アルコール依存症」との境界線は?
続いては、アルコール依存症に見られる特徴から、単なる「酒好き」と「アルコール依存症」の境界線について考えていきましょう。
アルコール依存症の特徴①
お酒を飲まないとイライラする
お酒を飲むことが好きな人の中で、「お酒を飲むのは好きだけど、飲まなくても平気」という人はアルコール依存症ではありません。アルコール依存症の人はお酒が抜けるとイライラしたり、微熱や悪寒がするなど精神的にも身体的にも苦しくなります。
お酒を飲まない日が続いても、精神も落ち着いていて、体調不良もないなら、アルコール依存症ではありません。
アルコール依存症の特徴②
お酒を飲んでトラブルを起こす
アルコール依存症の人は、お酒が抜けるとイライラして暴力的になります。家族への暴力や、会社での暴言などが目立つようになり、人間関係にトラブルが生じることが多いです。また、自分自身がアルコール依存症であることを自覚している人の中には、お酒を飲むことへの後ろめたさから他人に攻撃してしまう人もいるようです。
お酒が好きとはいえ、お酒が抜けても暴力的にならず理性的に他人と接することができる人は、アルコール依存症ではありません。
アルコール依存症の特徴③
仕事を休んででも飲みたい
アルコール依存症の人は、酷くなると飲酒を何よりも優先するようになります。どうしてもお酒が飲みたくて、仕事を休んでしまう人もいるのです。仕事を休めば生活ができなくなることは分かっているはずなのに、アルコール依存症になると、お酒を飲んでも良いタイミングを自分ではコントロールできなくなってしまうのです。
いくら酒好きといっても、仕事を休んでまで飲みたいと思わないうちは大丈夫でしょう。
アルコール依存症の特徴④
自分で飲む量をコントロールできない
アルコール依存症の人は、飲む量を自分でコントロールすることができません。「飲み始めると止まらない」というタイプの人が多く、酔っぱらって倒れてしまうまで飲酒がやめられない人もいます。
酒好きな人の中でも、ついつい飲み過ぎてしまうことが多いという人は、アルコール依存症予備軍といえるでしょう。「飲み過ぎないようにしよう」と自制できているうちに、依存症にならないように気を付けてくださいね。
アルコール依存症じゃないのに…他人に心配されるようなら注意!
アルコール依存症の特徴をみて「自分はアルコール依存症ではなさそうだ」と思ったあなた!まだ安心するのは早いですよ。実際にはアルコール依存症ではなくても、家族や友人、知人から、「お酒、控えた方が良いんじゃない?」と言われたことがある人は要注意です。なぜお酒を控えるように言われたのかを考えてみてください。
酒癖が悪い人
アルコールが入ると人格が変わってしまう人がいます。自覚症状がなく、他人に不快な思いをさせてしまっているかもしれません。「お酒が入って何を言ったか覚えていない」なんてことにならないためにも、飲み過ぎは控えましょう。
健康に害を及ぼしている人
肥満気味の方や肝機能の低下が見られる方は、飲酒を控えることで健康になる可能性が高いです。ご家族や友人は、あなたの体を心配して「お酒を控えたら?」と助言してくれているのかもしれません。
精神的・身体的にアルコールに依存していなくても、お酒を日常的に飲むと健康に害を及ぼします。飲む量を減らすなどの対策を検討してみてはいかがでしょうか。
ミスが多い人
二日酔いのまま出勤して、仕事でミスをしてしまうという人がいます。社会人として、アルコールが抜けないまま出社するのはあってはならないことです。次の日が出勤日のときには、翌日にアルコールが残らないように飲む量を調整しましょう。
また、毎日のようにお酒の臭いがする同僚とは一緒に働きたくないですよね。事実ではなくても、あまりにも毎日お酒の臭いをさせていると、「あの人はアルコール依存症なのでは?」と思われてしまうかもしれませんよ。
アルコール依存症にならないために
お酒が好きな人は、そうでない人よりもアルコール依存症になるリスクが高いです。そのため、アルコール依存症にならないために、日頃から適切な対策をとる必要があります。
アルコール依存症対策①
休肝日を設ける
アルコール依存症にならないためには、「飲む日」よりも「飲まない日」を多くすることが適切だとされています。とはいえ、お酒好きな方にとっては、厳しいかもしれませんね。
そこで、3日に1回程度は休肝日を設けてみてはいかがでしょうか。休肝日にもどうしても飲酒気分を味わいたいなら、ノンアルコールドリンクを活用しましょう。
「習慣飲酒」はアルコール依存症のリスクを高めます。最初は辛いでしょうが、頑張りましょう。
アルコール依存症対策②
純アルコール量20g以下にとどめる
アルコール依存症には、基準となる数値があります。
1日につき純アルコール量20g以下にとどめれば、アルコール依存症になるリスクは低くなるとされています。純アルコール20gというのは、ビールでいうと500ml缶1本程度、日本酒なら1合(180ml)、ワインならグラス2杯(200ml)程度です。「たったそれだけじゃ飲んだ気がしない」と感じるかもしれませんが、続けていくと少量のアルコールでも満足できるようになるので、試してみてください。
最後に
単なる酒好きと違って、アルコール依存症は精神的にも身体的にもアルコールに依存してしまう怖い病気です。症状が進むと仕事や家族を失い、最悪の場合はアルコール肝炎を引き起こして死に至ります。いくらお酒が好きとはいえ、アルコールが原因で命を落としてしまうことは絶対に避けたいですよね。
アルコール依存症は、飲酒の習慣化やアルコールの摂取量の増加により引き起こされます。女性でも男性でも、若年でも老年でも誰もがかかりうる病気なので、対策が必要になります。
お酒好きの方にとっては辛いでしょうが、3日に1度は休肝日を設ける、純アルコール量は1日20g以下に抑えるといった方法が効果的です。今後の生活と健康のためにも、頑張ってみてはいかがでしょうか。
以上、「酒好き」と「アルコール依存症」の境界線はどこですか??…という話題でした!