日本最北の大繁華街・札幌(前編)。慣れない土地で救われた、熱々の味噌ラーメンの思い出

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日本最北の大繁華街・札幌(前編)。慣れない土地で救われた、熱々の味噌ラーメンの思い出

日本最北の大繁華街・札幌(前編)。慣れない土地で救われた、熱々の味噌ラーメンの思い出

暖冬でどこも全く雪が降らないというのに、札幌は今日も真っ白だった。日本最北の大繁華街は、ネオンに照らされてキラキラと輝いている。しかし、少し路地を入ると嘘のような静けさ。積もった雪が、喧騒を消してくれているのだろう。

イベントの取材を終え、クライアントとジンギスカンを肴に飲んだあと。酔い醒ましに深夜の繁華街を散歩する。以前来たときはちょうど雪まつりの時期だったので、大通り公園沿いはこの時間でもたくさんの人で賑わっていた。外国人観光客も多く押し寄せ、街中で道を聞かれて困ったものだ。

札幌の街は意外と広い。

札幌駅からすすきの駅までずっと店が途切れることはないし、心部を貫く大通公園がそもそも長い。四角に区切られた区画は、迷ったときには助かるが、慣れないうちは目的地を見失う。そして、何も考えずに歩き続けた結果、自分が泊まっているホテルがどこかわからなくなってしまった。たしか、有名なラーメン屋が近くにあったはずだが……
ふと前を見ると、行列ができている店がある。これはもしや、と近づく。そうだ、この店だ。『けやき すすきの本店』。よし、これでホテルに帰れるぞ。基本、長蛇の列は避けて生きてきたが、今回は慣れない土地で助けられた恩がある。せっかくだからここで〆て帰ることにしよう。

店の横に連なる列に入ると、30分ほど待つようだった。その間に、ネットでメニューを漁る。基本は王道の味噌ラーメン。そこにトッピングが乗る「煮玉子ラーメン」や「にんにくラーメン」が人気のようだ。また、札幌らしいメニューとして「バターコーンラーメン」の姿も見える。小1時間歩き回って、小腹も空いた。どれも非常に魅力的だ。しかし、初めての店ではまず、王道から、と決めている。ブレることなく味噌ラーメンを注文することにした。

北国のラーメンあるあるとは

店の姿が少し見えてきたところで、食券を買いにいったん店内へ。外の寒さとは対照的に、店内には湯気が立ち込めている。味噌と脂の香ばしい香りがする。腹が減った。
やっとのことで狭い店内に通されると、観光客から地元の人から、バラエティ豊富な人種が着丼を待っていた。美味しそうな香りが胃袋をくすぐる。先ほど食べたジンギスカンなぞ、すっかり消化されてしまった。提供までそれほど時間が経ったわけではないが、この5分ほどがこんなに待ちきれないとは。
満を持しての着丼。そして、まずはレンゲでスープをすする。くどさや雑味を感じない、繊細な味噌。動物系のまろやかな出汁に、野菜系の深い甘みが加わっている。口当たりは濃厚なのに、後味は驚くほどさっぱり。少し多めに脂を浮かせてスープが冷めにくくしてあるのは、北国のラーメンあるあるだ。

これは上等

乗せられている具材は、ネギにメンマ。特にこのメンマの食感がいい。筋が残らず、さっくりと噛み切れる。これは上等だな。
麺を持ち上げてみると、たっぷりとスープが絡まっている。定番の黄色い縮れ麺。太すぎず、細すぎず、スープの旨さを邪魔しない麺。炒めた野菜のシャキシャキ感を楽しみながら、一気にすすり上げた。外気で冷えた身体が、一気に火照った。そして、夢中で食べ続けるうちに、いつの間にかうっすらと汗すら滲んでくるほどに、芯から温まっていった。
外に出るとまた、雪がちらつき始めていた。さぁ、帰ろう。


ごちそうさまでした。

【DATA】
味噌ラーメン
900円

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