全国の人気店にスポットを当てて紹介する本コーナー。第2回となる今回は、池袋の名店『EVE(イヴ)』!
何かと移り変わりが激しい飲食業界、とりわけ水商売は生存競争が激しい。その中でも老舗中の老舗として多くのリピーターを獲得している同店。しかも池袋という都内でも有数のガールズバー激戦区に店を構えているのだ。
「いったいどんな店なんだろう……」
有名な人気店なのに一度も飲みに行ったことがなかった筆者。さっそく編集部に取材を提案。
「あの池袋でずっと続いてるんですよ? 知りたくないですか?」
この口説き文句が決め手になった……かどうかはしらないが、編集長から取材OKの返事をゲット。晴れて正式な指令を受け取り、4月末日、池袋に足を運んだ次第。決して取材費で飲めるとか、女の子とワイワイしたかったとか、よこしまな気持ちがあったわけじゃないのだ。
昔ながらのスタンダードなカウンタースタイル!キュートなダブル店長がおもてなし!
池袋駅東口から徒歩5分。ビックカメラ本店の裏通り、居酒屋が入ったビルの地下1階が『EVE』の所在地。
近年は装飾や色彩など、レイアウトにこだわりを見せる店も増えてきた中で、同店はスタンダードなバーカウンタースタイル。これがまた居心地のよさを感じさせる。
出迎えてくれたのは2人のキュートな女の子。いつもならテンション上々で席に着くところだが、今回は事前にアポを取ってのれっきとした取材。ぐっとこらえて「あのー、今日は取材できました。店長さんはいますか?」と聞いてみたところ「あ、わたしたちが店長です」との答えが。え、マジで? ていうか“わたしたち”!?
実は同店、女性の店長さん。しかも2人体制という珍しいパターンなのだ。
しかも“あやか”ちゃんは入店して10年。“あや”ちゃんも今年(2019年)の12月で10年を迎えるのだとか。
ちょっと待ってくれ。10年てことは……いったい何歳なんだ? 女性に年齢を聞くのは失礼、そのうえ取材の初っ端から聞くなんてあるまじき行為とは思いつつ、我慢できずに聞いてしまった。
「29歳です」(あやか)
「30歳です」(あや)
若いなオイ! ハタチそこそこだと思ってたよ! なんなら最初に見たとき新人だと思ってたよ!
編集部から何の情報も知らされず、筆者もまた何も調べずという取材記者にあるまじきスタンスで突撃したものだから心底驚いてしまった。
楽しく働けるから居心地抜群!『EVE』にハマった2人が入店したきっかけは?
気を取り直してインタビュー。まずは2人が『EVE』で働き始めた理由を聞いてみた。ショートカットがよく似合う“あやか”ちゃんは貯金が目的だったとか。
「ダンススクールに通うための学費を貯めようと思って、最初はファミレスでバイトをしてたんですけど、1年間で10万円しか貯まらなかったんですよ。300万円くらい必要なのに(笑)。そうしたらキャバクラで働いているお姉ちゃんがガールズバーのことを教えてくれて。キャバクラは敷居が高かったけど、ガールズバーだったらやってみようかな、と」
今から10年前といえば、まだガールズバーが今ほど浸透していなかった時代。“あやか”ちゃんもよく知らなかったようだ。
「それでネットで求人を探して『EVE』を見つけた感じですね。もちろんまだガラケーの時代(笑)ですよ」
一方の“あや”ちゃんはもともと接客業が好きで、居酒屋を中心に、さまざまな飲食店でアルバイトをしていたのだとか。
「話すこと自体が好きなので、ガールズバーで働くことには特に抵抗なかったかな。あとは将来ラジオの仕事をやりたかったので、トークスキルをつける目的で始めました。時給がよかったのと、深夜帯で働いてみたかったというのもありますね」
2人に共通している点は『EVE』に入店して、ガールズバーの楽しさを知ったということ。
「割とすぐにハマりましたね。みんなでワイワイお酒を飲んだりゲームをしたり……居心地がいいですね」(あやか)
「楽しく働けている」という彼女たちの実感は、ほかのキャストも同様。数カ月、1年で辞めていく女の子も多い中、同店のキャストは3年、4年も珍しくないのだとか。
「もちろん一番長いのは私たちですけどね。ベテランです(笑)」(あや)
実は店を畳んでいたかもしれない!?変わらない安心感と呑兵衛想いの新しい試みを提供
そんな2人が店長に選ばれた理由は「タイミング」だと言う。
「前の店長が急に辞めて、唯一残っていた男子スタッフもその3カ月後には退職したんですよ。ほかに残っていたメンバーの中で『EVE』のことをよく知っていたのが私たちだった、ていう感じですかね。それでオーナーから店長を打診されたんですけど、そのときに『キミたちが受けないなら店を閉めることにする』って。今から5年前くらい前の話です」(あや)
もし彼女たちがノーと答えていたら、『EVE』は現存していなかったのかもしれない。
そして現在は店長として店を盛り上げ、池袋随一の人気店に押し上げた“あやか”ちゃんと“あや”ちゃん。とはいえ、ガールズバーブームの先駆けとして、長く続いてる店だからこその難しさも感じているようだ。
「古く長くやっているがゆえに大きな変革も難しいというか……。あんまり大きく変えてしまうと、昔からの常連さんだって思うところがるでしょうし。もちろん変わらないことでの安心感や居心地のよさは守っていきたいと思います。そのうえで、時代に合わせてちょとずつ変化させていこうとも考えていますね」(あやか)
その1つが「40分2,000円の飲み放題コース」。新規も常連も文句なしの、財布に優しいうれしい試み。こういった気配りが、同店の人気店たるゆえんなのかもしれない。
さて、『EVE』はいったいどんな店なのか? ガールズバーの先駆け的存在でありながら変化を恐れず、呑兵衛想いのおもてなし精神にあふれてるからこそ長年愛され続ている店である!
(取材・文/三好キスケ)
【 EVE(イヴ) 】
ジャンル / ガールズバー
お問い合わせ / 03-5953-3500
住所 / 東京都豊島区東池袋1-42-4 サンライフビルB1F
交通手段 / 池袋東口より徒歩5分 ビックカメラ本店の裏通り、一階は居酒屋です。
営業時間 / 19時~翌6時
定休日 / 日曜・年始
Twitter / https://twitter.com/girlsbareve